和食器なら通販がオススメ~種類や選び方、注意点など
和食器とは日本独自の食文化に合わせて作られた「器」のことを指します。西洋の文化に沿った洋食器と比較するとバリエーションが豊富で、使う食材や料理によって使う食器が変化したり、器の模様に意味を持たせたりと日本独自の美意識が反映されています。
バリエーションが豊富なこともあり、通販で自分の好みにあった和食器を購入する人も増えています。
和食器とは?
和食器とは日本の食文化に合わせて作られた食事に用いる「器」のことを指します。たとえば、碗や椀、向付、鉢、皿、酒器や茶器などが代表的な和食器として挙げられます。
また、素材で分類すると、陶土を焼成して作られる陶器(土もの)、陶石をベースに作られる磁器(石もの)、漆器、木・竹・金属器などが挙げられます。
いずれにしても和食、懐石のために発展した食器であり、日本人の食文化と共に長い歴史をかけて進化してきました。
和食器と西洋の食器(洋食器)の違い
西洋食器と比較すると和食器はバリエーションが豊富です。
例えば、お椀一つをとってもお吸物、煮物椀、飯碗のように料理によって異なる椀が用意されています。
これは日本人の持つ多様性や細やかな気遣い、食へのこだわりが反映された結果だと考えられます。
和食器の魅力
和食器の魅力はそのバリエーションの豊富さもさることながら、長く使い続けられることにあります。
例えば、漆器自体は中国をはじめアジア諸地域に存在しますが、日本の漆器には長く使い続けられるように独自の工夫が散りばめられています。
漆器に使う木材は通常3~5年、長ければ20年寝かせて中の水分を乾燥させてから加工しますが、これは現代では日本独自の技法です。
また、漆はそのまま扱うとかぶれてしまうので中国などアジア諸国では火入れをして使用しますが、日本ではあえて古代からの技術のまま 生の漆を使うことで日本の漆器独特の美しい艶や堅牢さのある作品を現代でも作り続けています。
また、器に描かれた柄にも意味があります。例えば、椀の模様としてよく書かれる「十草柄」は、十草という植物をモチーフにしており、「砥草とも言われる十草の葉を使って金を磨くと光沢が増す」と言われることから金運アップの縁起の良い柄と言われています。
他にも菊や瓢箪の文様は長寿を祈る図柄です。特に瓢箪を6個あしらった「六瓢」という柄はその語呂から「無病息災」を願う柄で、これも縁起の良い柄です。
さらに子供の生誕100日を祝うお食い初めでは家紋入りの食器を使うといったように日本の行事に食器とその柄が密接に関係しているケースも存在します。
このように長く使えて、柄やモチーフに縁起といった意味を持たせているのが和食器の魅力です。
進化する和食器
和食器は日本の技術・伝統的な製法を守りつつも時代に合わせて進化しています。
たとえば輪島塗では「布着本堅地」という技法がよく使われます。
木地に薄い布を貼ってさらに何度も漆を塗り重ねることで補強し、輪島塗独特の温かみのある艶やかな色合いと堅牢な強度を薄い器胎の中に出すことができるのですが、これは現代で色々な場所で使われるFRPと呼ばれる樹脂と繊維の積層と、同じ構造なのです。USJやディズニーランドなど、大型テーマパークのアトラクションの建物や岩山等の、景色を構成する丈夫なハリボテを思い出してもらうとおわかりいただけるでしょうか。
奈良時代に仏像彫刻を作る技法として流行した「乾漆」という技法を器の制作に応用するようになったのだと思われますが、江戸前期の京都には堅地屋清兵衛という名工も出てきています。
平安時代から続くといわれる輪島漆器の中で、この手間のかかる技法が輪島塗の代表的な技法となって今に続いているということに、日本で伝統技術を守る人々の「思い」が感じ取れます。
また、伝統工芸のジャンルの和食器も実は日々進化しています。
大正時代には河井寛次郎や宇野仁松といった作家が中国やアジアの陶磁器を新しい解釈でデザインし直して一世を風靡しました。
昭和に入ると日本の古い陶磁器の失われた技術が、様々な陶芸家が研究に研究を重ねることで再現されてきています。
美濃焼系の焼き物では、志野は荒川豊蔵、織部は北大路魯山人。
有田系磁器では濁手の酒井田柿右衛門。極真焼の辻常陸。
中国で焼かれた物で油滴天目は石黒宗磨・清水卯一が再現に成功。国宝にもなっている曜変天目も長く再現不可能とされてきましたが、すでに数名の作家が近年、再現に成功しています。
また、どの時代にもデザイン性の高い器が作られています。
1900年頃にはアールヌーボー調、1920年頃になるとアールデコ デザイン。
1950年頃には北欧デザインの影響を受けた器も多く見られます。
このように、伝統一筋のように思われる和食器ですが、実は時代に合わせて進化しています。
失伝した技術を復活させたり、新技術が誕生したりすることにより、和食器はより多様な進化を遂げているのです。
和食器の選び方
和食器はその多様さゆえにさまざまな選び方があります。用途が決まっていれば、素材、大きさ、作家・窯元などの選ぶ際の基準があります。それぞれの選び方について紹介します。
素材で選ぶ
和食器の素材としては、陶器、磁器、漆器、ガラス食器、鉄器などが存在します。どの素材を使用しているかによって用途も器の雰囲気も異なります。
たとえば陶器と磁器は陶磁器と一括りにすることがありますが、陶器は厚手で表面がデコボコしているのに対して、磁器は薄手でなめらかといったように、器として持っている雰囲気は異なります。このような器としての表情だけではなく、機能的には耐熱温度、重さ、熱伝導性などさまざまな性質も異なるので、目的に合わせて購入すべき和食器の素材は異なります。
大きさで選ぶ
器の大きさも和食器を選ぶ際の目安となります。和食器は一般的に「寸(1寸=3.03cm)」という単位で大きさを表示します。5寸前後が小皿と中皿の境目、8寸前後が中皿と大皿の境目で一番大きな皿で1尺(≒10寸程度)です。
何人前の料理を出すのか?どのような用途で使うかによっても適切なお皿のサイズは異なりますが、目安としては以下のとおりです。
- 3寸皿:いわゆる豆皿でお刺身のお醤油や薬味を入れる程度のサイズ
- 4寸皿:副菜やちょっとしたおやつを入れる程度のサイズ
- 5寸皿:主菜の取り皿などに使える用途の広いベーシックなサイズ
- 6寸皿:少し大きめの取り皿で食パン1枚がちょうど載る程度のサイズ
- 7寸皿:メインの料理を盛り付けるために適したサイズ
- 8寸皿:ご飯に主菜やサラダを加えてワンプレートにできる程度のサイズ
窯元・作家で選ぶ
和食器の中には人気の窯元や作家が存在します。同じ陶磁器であっても窯元によって製法や使用する素材は異なりますし、作家によって異なるので、一口に和食器といってもその種類は無限にあります。
さまざまな食器の中から自分にあった「うつわ」を見つけ出すのも和食器選びの楽しみです。
代表的な和食器の窯・作家
和食器と一口に言っても製作した産地や作家によって、そのデザインや機能は大きく異なります。
特に陶磁器においては、どこの窯元、どの作家の手で作られたものなのか?は重要な要素です。日本は世界でも類を見ない多様な陶磁器が作られている国で、産地だけで大きく分けても60箇所以上、窯元に細分化すると4,000以上、さらに窯元に紐づいた作家まで加えるとその種類は膨大になります。
窯としては京都(清水焼)、備前焼、有田(伊万里焼)、九谷焼、笠間焼、瀬戸焼、美濃焼、信楽焼、唐津焼といった窯が有名で、いずれも多くの名品を生み出しています。
さらに、一例ですが、有名なやきものの作家としては、九谷焼の徳田八十吉、備前焼の金重陶陽、有田焼では酒井田柿右衛門らが存在します。書き出すと枚挙にいとまがありませんが、このような大家の他にも近年活躍している現代の陶芸作家もいて、いずれ未来の大家になるかもしれない現代の陶芸作家も数多く存在します。
さまざまな器を見ることで好みの作家が見つかれば、作家ものを買ってみるのも和食器の楽しみ方です。
和食器の種類
和食器のバリエーションは豊富なことから、陳列できる商品点数に限りがある店舗よりも、通販の方が自分の希望にあった商品に出会えることが多いです。代表的な和食器としては次のような種類が挙げられます。
椀・碗
木製のものは「椀」、陶磁器製のものは「碗」と呼ばれます。主に用途によって椀の種類は分類できます。汁椀、飯碗、煮椀が代表的ですが、他にも箸洗い、小吸椀、吸い物椀のようにさまざまな「わん」が存在します。
汁椀
汁ものを盛るためのスタンダードなお椀です。手に持って啜るため熱が伝わらない木製の器を用いることが一般的です。一口に汁椀といっても蓋の有無や高台の高さ、器の丸みなどによって多様な種類が存在します。一般的には木器や漆器が使われます。
飯碗
ご飯を入れるための碗です。汁椀と同様に、器の丸み、端反の広がり方などによってさまざまなデザインが存在します。手に持って使う器なので、持ち心地や掌へのなじみも重要な要素です。また、陶器か磁器かによっても器が持つ雰囲気が変わります。
煮物椀
煮物椀(煮椀)は煮物を盛り付けるためのおわんのことを指します。漆器、陶磁器どちらの煮物椀も存在しており、和食器の中でも特にバリエーションが豊富な食器で懐石料理には重宝されます。さらに細分化すると、平椀、大椀、小蓋物などに分類されてそれぞれ用途が異なります。
皿
皿とは浅く平たい容器のことを指し、主に大きさや形によってジャンルが細分化されています。また、皿の形状そのものだけではなく、その皿のデザインやモチーフに込められた意味を理解しているとより皿選び、収集が楽しめます。
小皿・中皿
直径8寸(24cm)程度までの皿を指し、日常的に使用する皿の多くが小皿・中皿に分類されます。
豆皿
小皿の中でも直径3寸(9cm)以下の小さな皿は「豆皿」と呼ばれています。手塩皿とも呼ばれ、食膳に塩を盛る皿として使用されていましたが、近年はこの文化がなくなったため、薬味や香の物を入れる小さなお皿として使われることになりました。
大皿・八寸中皿
直径8寸を前後にして大皿・中皿に分類され、8寸の大皿は八寸中皿と呼ばれることもあります。ワンプレートで料理を盛り付けたり、宴会用に大量に料理を盛るための皿で8寸~1尺(10寸)程度のサイズが一般的ですが、中には1尺5寸(45cm)、2尺(60cm)サイズの大皿も存在します。
長皿
長方形のお皿のことを指します。焼き魚などを盛り付ける際に用いられます。縦横比に定義はなく、陶磁器が多いものの、ガラス器・木器もあり、意匠も含めればバリエーションは豊富です。
丸皿・角皿
丸皿とはその名のとおり丸い皿、角皿とは四角い皿の中でも正方形の皿の事を指します。大きさによって用途は異なりますが、シンプルな形ゆえに普段遣いの多い皿です。料理の雰囲気や相手によって盛り付けるお皿で変化をつけられるように様々なパターンの皿を持っておくべきです。
深皿・なます皿
椀や鉢ほどではありませんが、皿の中でも深さを持った皿のことを深皿と呼びます。また、深皿の中でも副菜の「なます」を盛り付けるのに適した直径15cm程度の皿のことを「なます皿」と呼びます。和食だけではなく、ちょっとした果実やアイスクリームを盛り付けるのにも使用できる和洋問わず広い用途で使える皿です。
変形皿
扇形や半月形のように円形、四角形ではない皿のことを総称して変形皿と呼びます。変形皿の中には、さまざまなユニークな皿が存在しており、葉や魚のように特定のモノをモチーフにした皿も数多く存在します。皿の形に意味が込められることもあり、例えば扇形の皿は末広がりの形で縁起が良いとして 、お祝いの席に好んで用いられます。
鉢
和食器の中でも、深いくぼみのある器のことを指して「鉢」と呼びます。鉢と皿の定義に明確な違いはないので、「平鉢(=平たい鉢)」と深皿の間にはほとんど違いがなく、区別が難しいケースもあります。用途によって鉢は更に細分化できますが、ここで紹介している食器以外にも植木鉢や金魚鉢のように日常雑貨として使用される鉢も存在します。
向付
向付とは懐石料理において、なますや刺身を盛り付ける皿のことを指します。これらの料理はお膳の中央よりも向こう側に配置することが一般的なことから「向こうに付けるもの」として「向付」と呼ばれます。料理に合わせて鉢の深さが変わるのはもちろん、季節によって器のデザインを変えることも多く、時と場所によって器を変える楽しみがあります。
香鉢
香鉢(香物鉢)とは、懐石料理の最後に湯桶と一緒に持ち出される「香の物(=漬物)」を入れる鉢のことを指します。詫びた風情の器が好まれることが多く、漬物を箸で掴みやすいように口縁が反った形の鉢が好まれます。
菓子鉢
その名の通り、お菓子を入れる際に用いられる鉢のことを指します。お菓子を盛る器としては他にも「菓子椀」「縁高」「食籠」などがありますが、菓子鉢は主にようかんや団子などの「主菓子」を盛りために使用され、唐物、和物の両方が存在しますが優美なデザインの器が多いです。
鉢
「向付」「香鉢」「菓子鉢」のように比較的小ぶりな器だけではなく、 大きな煮魚を盛るための「大鉢」や丼ものを盛るための「どんぶり鉢」も鉢に分類されます。皿と並んで大きさや用途のバリエーションが多いので、ぜひ好みの「鉢」を探してください。
酒器
お酒を呑むために使用する和食器のことを総称して「酒器」と呼びます。お酒の中でも日本酒を呑みやすくするためにさまざまな工夫が施されており、実用品としてだけではなく、祭祀具として活用されることもあります。
徳利・銚子
胴体部分が膨らんでいて、首の部分が細くくびれた、お酒を入れる容器のことを指します。徳利・銚子と2パターンの名前が用いられることがありますが、両者は同じものです。元々「銚子」とは結婚式の三々九度の際に盃に酒を注ぐ急須のような器のことを指していましたが、現代では徳利のことを指して「銚子」と誤用され、この誤用が定着したことから徳利≒銚子と扱われています。
片口
口縁の一部に注ぎ口がついた器のことを指し、主にお酒を注ぐために使用される器です。口縁に注ぎ口さえあれば片口といい、大きさや深さは大小さまざまです。また、酒器としてではなく注ぎ口を器のアクセントに見立てて小鉢のように副菜を持ったり、汁やソースを入れる器として用いることもあります
ぐい呑み・猪口
日本酒を呑むための器のことを指します。ぐい呑みは「ぐいっと呑む」、猪口は「ちょく」(=ちょっとしたもの、飾り気のないもの)が語源だと言われています。ぐい呑みと猪口の違いは大きさで、猪口が一口サイズ程度の器なのに対して、ぐい呑みは猪口と比べると大振りです。
盃・桝
盃は高台のついた皿状の酒を呑むための器のことを指します。日常の飲酒だけではなく、結婚式や神事などの日本古来の行事にも用いられることがあります。桝とは四角い、木や漆塗りで作られた酒を呑むための器のことを指します。桝も盃と同じく、「増す」「益す」につながる縁起の良い器として祭事に用いられることもあります。
茶器
広義には茶の湯に用いられる道具全般、狭義には抹茶を入れる容器のことを指して「茶器」と呼びます。広義の茶器は、急須や汲み出し、煎茶碗のように更に細分化されます。和の茶器だけではなく、中国茶の茶器も存在しており、国によってもデザインが異なります。
急須・蓋碗
急須・蓋碗は茶葉を入れ、湯をさして煎じ出すための茶器です。一般的に陶磁器が用いられさまざまなデザインのものが存在しますが、急須と蓋碗では形状が大きく異なります。急須は西洋食器のティーポットのような形をしており、取っ手と注ぎ口のついた丸みを帯びた何杯分かのお茶を煎じ出せる容器です。一方で蓋碗はその名の通り、蓋つきの碗の形をしており、お茶一杯分を煎じ出すのに使用します。
湯呑・汲み出し
お茶を飲むための容器で主に陶磁器が用いられますが、ガラス製のものもあります。湯呑は筒形の片手で収まる程度の大きさの器で主に普段使いに用いられます。一方で汲み出しは湯呑と比べると高さが低く、横長の形状のものが多い傾向にあり、来客にお茶を出すために使用されます。
煎茶碗
煎茶を飲む際に使用される碗で、「茗碗(みょうわん)」「茶盃(ちゃはい)」「磁碗(じわん)」などさまざまな呼び方があります。湯呑や汲み出しと比較すると器の大きさは小さく、どちらかといえば、猪口やぐい呑みに近いサイズの容器です。
茶托
茶碗を乗せるための小さな皿のことを指し、西洋食器のコースターのような役目を果たします。茶托に茶碗を乗せることにより、テーブルの冷気からお茶を守り、お茶が冷めるのを防ぎます。一般的には木製の茶托が使われますが、陶器の茶托も存在します。
その他
蕎麦猪口
蕎麦猪口とは、猪口の一種で盛り蕎麦のつけ汁を入れるための器のことを指します。江戸時代の末期に庶民の間でお蕎麦が流行し、その時使用していた口径5~8cm程度の器が蕎麦猪口と呼ばれるようになりました。「蕎麦」と名前についていますが、実際には小鉢や湯呑、酒器など日常的な器として活用されていたものです。
和食器をギフトで送る際の注意点
和食器は。柄や形が持つメッセージ性を理解してプレゼントすると、より相手に喜んでもらうことができるでしょう。
扇面形で「末広がり」になりますように。とか、菊や瓢箪の図や形で「長寿」を祈る。などです。
和食器はギフトとしても人気が高い商品の1つですが、いくつか注意点も存在します。
割れ物が多いので梱包には特に注意しなければいけませんし、結婚祝いなどの縁起ものであれば4客など縁起の悪い数字は避けたほうが良いでしょう。
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